手工芸の素晴らしさを新しいスタイルで

日本人の手先の器用さは、手工芸の繊細さを見るとよくわかりますよね。
先日行ってきたギフトショーで、そんな手工芸の素晴らしさに触れる機会がありました。

あまりの色の美しさに足を止めたのが「山形緞通」のブース。
自然の風景に現れる色を再現した絨毯は、壁にかけても素敵ですよね。
じっと眺めていたら、スタッフの方がいろいろと説明してくださいました。

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約100年前に山形に産業を興すべく始まった絨毯作りは、交通の便も悪かった故に、
染めも織りも洗いも、すべての工程を同じ工場内で行っていて、それが今もずっと続いているのだそうです。
細い糸がびっしりと並んだ絨毯は、全て手織り!!
繊細なグラデーションも手触りも素晴らしくて、感動しました。
日本独特の色使いは、他にはない新しい雰囲気で素晴らしいですよね。

この桜の絨毯は日本画や京友禅のよう。
桜好きの私はくぎ付けに!

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花の形に沿って表面を刈り込み、立体感を出す作業は、
勤続60年近い、レジェンドとも言える女性の職人さんなのですって。
後日TVでも取り上げられていて、やはりこの桜の絨毯の制作風景が放映されていました。

以前、コンサルティングの仕事でホテルのバンケットの改装プロジェクトのお手伝いをさせていただき、
絨毯もオリジナルで作成するため、色糸を見て組合せを決めるというプロセスに立ち会ったことがありました。
見本はあくまでも小さな四角い絨毯、または糸そのものを見るしかありません。
大きな面積に敷きこむと、同じ色でも見え方が変わるわけで、角度によっても色は違って見える。

そんな体験があったので、こういう作品を敷き込めたらすごい空間ができるなぁ、なんて妄想していましたが、
いやー、こんな高級品は踏めません!!
なにしろ、皇居に敷きこまれていたり、ローマ法王に献上されたりした素晴らしいもの。
私なら、ホテルの客室やサロンの壁に絵のように飾ったりして使いたいなぁ。
自分へのごほうびにと購入していく方もいるそうですが、納得です。

人の手で生み出される産業は、職人さんの年齢がどんどん上がっています。
「山形緞通」では、ブランディングの過程で商品の内容についても見直して、こういった新しいデザインが生まれたそう。
高級品になるほど、販路も広げ、新しい価値を作って、後世に残す努力をしないといけないのかもしれませんね。

花嫁衣裳を含む着物も存続させるべき日本独特の手工芸ですが、残すための見直しも必要なのかもしれません。
いつまでも、こういう日本の素晴らしい手工芸が発展を続けていくように願うばかりです。