引出物の由来と中身

引出物 ひきでもの
〔古く、馬を庭に引き出して贈ったことから〕
宴会などで、膳部に添えて客に贈る土産物。また、広く招待客に贈る品物をいう。引き物。

(三省堂『大辞林』Web版)

新郎新婦と両家の両親の感謝の気持ちを託して列席者に渡すお土産が「引出物」です。披露宴だけではなく、宴席で配られるお土産全般をこう呼びます。
平安時代に、馬そのもの、または馬に乗せてお土産を客人に贈る習慣があり、贈る際に馬を厩から「引き出す」ことから、宴席の贈り物を「引出物」と呼ぶようになったと言われています。

本来、結婚式の引出物は、3品、5品、7品というように、奇数の品物を贈るのが一般的でした。ふたりの仲が「割り切れない」ように奇数にするとか、奇数は陰陽における「陽」の数字にあたるからとか、これにもいくつかの説があります。しかし、遠方からゲストを招待するケースも多くなり、持ち帰りやすさを重視するようになって、「対」を連想する2品でもよしとされるようになりました。

現在、都市部では、メインとなる「記念品」に「菓子」などを添えた2品を贈るのが主流となっていますが、主賓や親族などには更に縁起物などの3品目をプラスして贈ることもあります。

本来は全員に同じ品物を渡すものだったのが、相手に合わせて品物を考え、別のものを贈る「送り分け」も一般的になっています。席次表で指定しておけば、指定の品物がそのゲストに届くように式場のスタッフが準備をしてくれるので、ゲストの年齢や性別、家族構成などを考えた、よりパーソナルな贈り方ができるようになりました。

ただし、中身が異なっている場合も、ギフトバッグの大きさを揃えるなど、見た目は全員が同じになるように注意しましょう。引出物はその場では中身がわからないもの。バッグの大きさが違うことで「あの人の引出物のほうがいいものなのでは?」と邪推を招かないためのマナーです。